エルツのクリスマスの歴史とおもちゃ

2019.12.02


12月に入りました!街の中もクリスマスの時期になりつつありますね。
現在の企画展「木工おもちゃのクリスマス~工房探検~」の館内も、華やいだ雰囲気になっています。

ドイツ・エルツ地方のおもちゃの多くは、クリスマスに主に登場しますが、中でもとりわけ地域独特のクリスマスの特徴や歴史が伝わってくるおもちゃを今回はご紹介します!
 
〇サンタクロースのくるみ割り人形とくるみ

現在展示しているこちらのパネルでは、たくさんのサンタさんの顔が並んでいます。
サンタクロースのくるみ割り人形やパイプ人形を数多く展示していますが、工房ごとによって作りがこんなに違うんですね!それぞれの表情や動きの違いを見比べていると、愛着がわいてきます。

このくるみ割り人形に付き物の「くるみ」が、クリスマスにおける飾りとして金色に塗ったものが使われているのです。
中世からくるみは神話的意味を持っており、芸術性の高いものとして扱われていたそうです。
 
〇りんごの木

クリスマスツリーが飾られるようになった当初、リンゴが飾りとして使われていました。
アダムとイブの知恵の実を表現していると言われます。
 
〇シュトリーツェルキンダー(Striezelkinder)

エルツ地方でおもちゃ工業が始まった当時、人々の生活はたいへん貧しく、子どもたちも手伝いとして、市場へおもちゃを売りに出かけることもありました。
その子どもたちの姿をモチーフにしたのがこの「シュトリーツェルキンダー」です。
1937年、パリ博覧会で金メダルを獲得したおもちゃでもあります。
 
このような歴史的背景を知った上でおもちゃを見つめると、親しみが一層深まりますね。
今年のクリスマスは、木工おもちゃと共にドイツのクリスマスの足跡を辿ってみるのはいかがでしょうか。
 
【クリスマスイベントのお知らせ】
12月21日(土)~23日(月)は、エルツおもちゃ博物館にて、おもちゃの実演(15分程度)が13時より行われます。くるみ割り人形、クリスマスピラミッド、パイプ人形が実際に動いている様をご覧いただけます。
詳細:http://museen.org/erz/exhibition/

特に21日は、14時からの絵本の森美術館のギャラリートークもございますので、併せてのご参加ができます。ぜひムーゼの森で、素敵なクリスマスをお過ごしください!

ムーゼの森 学芸員 中須賀